| 「娘」 お父さんはどうして不動産屋になったの?
「父」 急にどうしてそんな事聞くの?
「娘」 学校で将来何になりたいか?お父さんやお母さん達と話してみてくださいって宿題出されたんだ。
あまり真剣になって考えたこと無かったので、お父さんは、やっぱり不動産屋をやりたくて大学へ進学したのかな?と思って聞いてみたの。
「父」 ううんそうだね。初めから今の仕事を頭に入れて学校へ行ったんではないよ。
学校受ける時に将来の夢や、なりたい職業があれば、それに沿った学校や学部を選ぶのが理想だけれども、お父さんは、それが無かったんだ。
今でも思うが、そんな簡単に自分の適性だとか能力とか、どんな職業に向いてるとかは、スポーツとか芸術や音楽の分野とか、除けば絞りきれないのではないかな?
むしろ、それを探すために学校へ行った気がする。だから一番つぶしがききそうな学部を選んだんだよ。
でも小百合には、できればお父さんみたいな選び方ではなくて、興味のあるものやなりたいもの、やってみたいこと、などがあれば、それに関連した勉強を薦めるし、学校や学部もそのほうが選びやすいのではないかな?
長い人生だから急ぐことはないだろうけれど、やっぱり「飯の食える」プロになるには、早いうちから、こつこつ努力しなければならない部分もあるから、しっかり考えたほうがいいのではないか?
これからは、男女差はなくなるし、ある部分能力主義が定着するような気がする。
生涯を通じてやれて、社会に役立ち、そして自分が打ち込めて、好きな仕事だったら、ベストだろうね。
「娘」 まあ、確かにそうなんだろうけど、なかなか、それが何なのか分からないだよね。
まして仕事っていっぱいあるじゃない?友達なんか意外と親がやってる職業をやりたいって子多いんだよ。
例えば看護師とか医者とか商売とか運送屋とか先生とか。
「父」 門前の小僧習わぬ経を読みってか?
「娘」それで、何で不動産屋になったか聞いてみたの。でもお父さん今の仕事は楽しいの?
あんまり儲かってないみたいだし、休みはないし、夜は遅いし、年がら年中、本を読んだり勉強はしなくちゃならないし、友達の親なんかに比べたら、何か大変そうな気がするんだけれど?どうなの?
「父」 よくぞ聞いてくれました。
家族にいい思いをさせてあげられないのは、まったくお父さんの責任だから、あまりカッコいいことは言えないが、ただ、お父さんは死ぬまで現役、生涯現役でやっていきたいんだ。
そして、この仕事が好きだし、勉強も本を読むのも好きなんだよ。
だから夜遅いとか休みが少ないなんて、まったく苦にならないんだ。
おとうさんの仕事は普通の人の人生にとっては一番大きな買い物である、土地や建物といった「不動産」を扱う仕事だから、決して失敗は許されないし、人の人生を左右してしまうかもしれない「不動産サービス」を提供しなければならないから、世の中の動きや経済の流れなど、あらゆる暮らしの情報を選んで、仕事に活かし、お客様の希望に答えなければならないんだよ。
不動産は社会生活の基盤だし、この活用こそ、経済活動の動脈の一つといってもいいものなんだ。
そして、不動産はとても長い期間にわたって人々の生活を支えるんだ。
その、とても大切で貴重なシーンに関われることは、喜びだし、やりがいだし、なにより、そんなシーンを通して、お客様の役に立てるということが嬉しいんだよ。
お父さんの仕事は「消えて無くならない」し、自分の仕事の足跡が残るんだ。
もちろん仕事の「記録」も文書で残るから、ほんとうにいいかげんなことは許されないんだよ。
熟練した「職人」のような「不動産屋の職人」を目指して、毎日が修行、修業、で、これでよいということはないんだよ・・・。
あなた方の学校行事やほんのつかの間の家族旅行も、決して回数は多くは無かったが、出来るだけのことはやったつもり。
ただ、お母さんや、お母さんの両親、そしてお父さんの両親には、ほんとに「親孝行らしいことをしてないな」という負い目はあり、これからやれることはやってあげたいと思っているし、お母さんにもそう思っているんだ。
それには一生懸命仕事をしなければならないし、なによりお客様に選んでもらわなければならないからね。
又、仕事の中で、お父さんだけでは、解決が困難な問題などが出てきた場合は、弁護士さんとか税理士とか、いろんな専門家の人と連携を組んで、問題解決を図りそのことで、お客さんの役に立てる場合もある。
お客さんという「個人」の役に立つということは、大きくみれば「社会」の役に立つということだから、どんな職業でも「個人」に喜んでもらうことは、「社会」への役立ちになっているということなんだね。
どんな仕事でも「社会」で必要としている仕事は大切で重要なんだ。
どんな仕事にも「優劣や貴賎」は無いんだよ。
だからと言って、卒業まで何も考えない、研究しないで、出たとこ勝負で仕事や勤務先を決めてしまうなんてことだけは、しないようにしてくれよ。
小百合がどんな職業に就くかは自由だけど、お父さんとしては、充実した人生を送って欲しいから、今がチャンスと思って真剣に考えて欲しいと思っている。
聞きたいことや相談事があったら、いつでも言ってきていいからね。
「娘」 よくわかったよ。私もこれから真剣になって考えてみるし、また、相談するかも知れないんで、そこんとこヨロシク。
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